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国産AI「Noetra」始動!44社連合が挑む日本発フィジカルAI

ソフトバンク・ソニー・NEC・ホンダなど国内大手44社が出資する国産AI基盤モデル企業「Noetra(ノエトラ)」が2026年7月に本格始動。PLaMoなど既存国産LLMを超えるマルチモーダル基盤モデルを開発し、2030年度に「実世界ネイティブAI」の実現を目指す。経産省・NEDOによる総額約1兆円規模の支援も受け、海外AI依存からの脱却を図る国家プロジェクトが動き出した。

日本のAI自立を懸けた「Noetra」、ついに本格始動

ChatGPT、Claude、Gemini――。現在、私たちが日常的に使う生成AIのほぼすべては海外製だ。日本語への対応精度、安全保障上のデータ管理リスク、そして産業用途への特化不足。こうした課題が指摘される中、日本が国家の威信をかけて動き出したのが、国産マルチモーダル基盤モデル開発企業「Noetra(ノエトラ)」である。

2026年7月1日に事業を正式開始し、同月16日には国内外のパートナーとともに研究開発着手を発表。ソフトバンク・ソニーグループ・NEC・ホンダという日本を代表する4社を中核とし、電機・自動車・製薬・建設・金融など幅広い業種から合計44社が出資する異例の巨大連合が、いよいよ本格稼働する。

Noetraとは何か――設立の経緯と背景

Noetraのルーツは2026年1月7日にさかのぼる。当初は「株式会社日本AI基盤モデル開発」として設立され、詳細を伏せたまま静かに活動を続けていた。同年6月1日に現社名「Noetra」へ商号変更し、6月30日に経済産業省・NEDOの大型支援事業に採択されたことで一気に注目を集めた。

社名「Noetra(ノエトラ)」は、思考・知性を意味する概念に由来するとされる。本社は東京都渋谷区に置かれ、代表取締役社長には丹波廣寅氏が就任している。丹波氏はソフトバンクで商品戦略・企画部門の本部長を歴任後、2023年8月にSB Intuitionsの代表取締役社長兼CEOに就任。国産LLM「Sarashina」の開発を主導した実績を持ち、2026年2月に同社代表を退任して今回の国家プロジェクトの舵取り役に就いた人物だ。

また、PLaMo(Preferred Networks)やtsuzumi(NEC)、Sarashina(SB Intuitions)といった既存の国産LLMが主に「テキストを扱う言語特化モデル」だったのに対し、Noetraはその次のステージを狙う。画像・動画・音声・センサーデータを含む実空間情報を統合的に処理する「マルチモーダル基盤モデル」の国産開発という、より野心的な目標を掲げている点が大きな違いだ。

具体的な開発内容と規模感――1兆円プロジェクトの全貌

経産省・NEDOによる約3873億円の初年度助成

Noetraと国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が提案したプロジェクトは、NEDOの「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」に採択された。2030年度までの総事業規模は約1兆円が見込まれており、初年度には約3873億円の助成を受ける予定だ。

世界初の国家規模「Vera Rubin AIファクトリー」を構築

開発の中核となるAI計算基盤は、米NVIDIAとの協力のもと構築される。具体的には、NVIDIA of DSXプラットフォームを活用した世界初の国家規模「Vera Rubin AIファクトリー」として整備され、1万3750基以上のVera CPU約2万7500基のRubin GPUが搭載された140メガワット容量の巨大データセンターとなる予定だ。

開発ロードマップ

  • 現在〜2027年度: マルチモーダル基盤モデルの研究開発着手(テキスト・画像・音声・動画の統合処理)
  • 2028年度: オムニモーダル基盤モデルの開発(あらゆる情報様式の統合)
  • 2030年度: 空間認識などの物理特性を理解する「実世界ネイティブAI」の実現

開発体制

研究開発体制は産学官の総力戦で構成される。産総研が先端の基礎研究を担い、Noetraが実用的なモデルの開発と提供を担う二本柱の体制だ。さらに、株式会社Preferred Networks(PFN)などの技術者もNoetraに参画し、これまで各社がAIモデル開発で培った技術・ノウハウを結集する形となっている。

ビジネス視点:企業・経営者にとっての意味

Noetraが目指す最大のビジネスインパクトは、「日本企業が自社のデータを海外サーバーに預けずにAIを活用できる環境の整備」だ。現状、多くの日本企業がOpenAIやGoogleのAPIを活用してAIを導入しているが、機密性の高い製造データや顧客情報を海外クラウドに送信することへの懸念は根強い。

Noetraが国産の計算基盤を整備し、マルチモーダル基盤モデルを提供することで、製造業・建設業・金融業など機密性の高いデータを扱う業種の企業が、よりセキュアにAIを導入できる環境が生まれる。ソフトバンクのプレスリリースでも、

「AI共存社会において、日本の産業や企業が持つデータは競争力の源泉です。その価値を日本国内で安全に生かせる環境を整備することは、日本の産業競争力を高める上で極めて重要です」
と強調されており、データ主権の確保が事業の核心にあることがわかる。

また、44社という幅広い出資企業群は、単なるスポンサーではなく将来のユーザー企業・データ提供者としての役割も担うとみられる。各産業の現場データをモデル学習に活用することで、日本の製造・物流・医療などの現場に最適化されたAIが生まれる可能性がある。

消費者・生活者視点:私たちの生活への影響

Noetraが開発する「フィジカルAI」は、ロボットや自動車、スマート家電など現実世界の機器と連携して動くAIを想定している。これが実現すれば、生活者にとって以下のような変化が期待される。

  • 介護・医療ロボットの高度化: 日本語・日本文化に精通した国産AIが、より自然なコミュニケーションで高齢者や患者をサポート
  • 自動車・モビリティの進化: ホンダが出資するという背景からも、自動運転や車内AIアシスタントへの応用が見込まれる
  • スマートホーム・家電の知能化: シャープなど家電メーカーも出資しており、日本の住環境に合わせた家電AIの実現が近づく可能性がある
  • 日本語AIサービスの品質向上: 日本語に特化した基盤モデルにより、翻訳・要約・検索など日常的なAIサービスの精度が上がる可能性がある

ただし、現時点でNoetraは研究開発段階にあり、一般消費者が直接サービスを利用できる段階ではない。実際に生活者の手元に届くのは、早くても2028〜2030年代以降になると見られる

専門家・業界関係者の見解

Noetraの設立について、業界からはおおむね前向きな評価が寄せられている。特に注目されるのが「国を挙げた基盤モデル開発の受け皿」という設計思想だ。単なる民間スタートアップではなく、経産省のGENIACプログラムの流れを汲んだ国策AIの実行体として、丹波社長をはじめ布陣が意図的に設計されている点が評価されている。

一方で課題を指摘する声もある。OpenAIやGoogleといった巨大テック企業は年間数兆円規模の研究開発投資を行っており、たとえ1兆円規模の国家プロジェクトであっても、純粋な技術競争では追いつくことが容易ではないのも事実だ。そのため、Noetraの競争優位は「汎用AI」ではなく、日本語・日本文化・日本産業に特化した専門性、そしてデータ主権の確保という点に置くべきという見方が有力だ。

また、Preferred Networks(PFN)やNECのtsuzumiチームなど、既存の国産AI開発の知見を持つ技術者集団がNoetraに参画する体制は、「ゼロからのスタートではない」という点でポジティブに評価されている。

国際比較:世界の「国産AI」開発の動き

国産AI基盤モデルの開発は、日本だけでなく世界各国で加速している。

  • 欧州(フランス): Mistral AIが欧州発のLLMとして台頭。EU全体でも「AI Act」のもとでの自主開発が奨励されている
  • 中国: DeepSeekやQwen(Alibaba)、Ernie(Baidu)など多数の大規模モデルが開発・公開されており、中国政府の強力な後押しを受けている
  • 韓国: NAVER(HyperCLOVA X)やSamsung、SKテレコムなどが国産LLMを開発中
  • UAE: TII(Technology Innovation Institute)がFalconシリーズを開発し、アラビア語圏に特化したモデルで存在感を発揮

共通するのは、「英語中心の海外AIへの依存から脱し、自国の言語・産業・文化に最適化されたAIを持つ」という戦略的な動機だ。Noetraの取り組みはこの世界的なトレンドと軌を一にするものであり、日本がこの競争に乗り遅れることなく参入できるかが問われている。

今後の展望と注目ポイント

2028年「オムニモーダル基盤モデル」が最初の関門

Noetraの最初の大きなマイルストーンは2028年度に予定される「オムニモーダル基盤モデル」の開発完了だ。テキスト・画像・音声・動画・センサーデータを横断的に処理できるこのモデルが完成すれば、産業界へのAI提供が本格化し始めると見られる。

44社の出資企業との連携モデルが鍵

電機・自動車・製薬・建設・金融など多業種の44社が出資するという構造は、Noetraの強みでもあり課題でもある。各社の現場データやユースケースをモデル開発に反映できるかどうかが、競争力の源泉となる。各社がどのようにデータを提供し、モデルをどのように活用するかというエコシステムの設計が、今後の重要な注目点だ。

GPUリソースの確保とデータセンター整備の進捗

NVIDIAと組んだ「Vera Rubin AIファクトリー」の構築が計画通りに進むかどうかも重要な変数だ。半導体の供給状況や地政学的リスクが影響を与える可能性があり、引き続き注視が必要だ。

まとめ:Noetraが示す3つの重要メッセージ

  • ① 国産AI基盤の本格始動: ソフトバンク・ソニー・NEC・ホンダら44社が共同出資し、PLaMoなど既存国産LLMを超えるマルチモーダル基盤モデルの国産開発が2026年7月についに本格スタートした
  • ② 国家プロジェクトとしての規模感: 経産省・NEDOの採択を受け総額約1兆円規模の支援が見込まれ、NVIDIAの最新GPU約2万7500基を搭載した国家規模のAIファクトリーを構築する計画は、日本のAI政策史上最大規模のものだ
  • ③ 2030年「実世界ネイティブAI」への野望: 単なるテキスト生成AIを超え、ロボットや自動車など現実世界の機器と連携して動く「フィジカルAI」の基盤モデルを国産で実現するという目標は、日本の製造業・産業界にとって長期的な競争力の源泉となる可能性を秘めている

参考情報


著者プロフィール

伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ

株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー

IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。

夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。

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