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テクノロジー

NTTのIOWN技術がラグビー判定を革新!史上初のリモートTMO本番運用

NTTは2026年6月7日、国立競技場(MUFGスタジアム)で開催されたラグビー・リーグワンプレーオフ決勝において、次世代通信基盤IOWN APNを活用したリモートTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)を史上初の本番運用として実施。大容量・低遅延・省電力を特長とする光ネットワーク技術がスポーツ審判のDXを加速させる歴史的な一歩となった。

ラグビーの判定が「リモート」に——IOWNがスポーツ界に歴史的な一歩をもたらす

2026年6月7日、東京・国立競技場(MUFGスタジアム)で行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 プレーオフトーナメント決勝において、日本の通信テクノロジー史上において画期的な出来事が起きた。NTT株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、そして一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(JRLO)の三者が連携し、次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」のAll-Photonics Network(APN)技術を活用したリモートTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)を、世界に先駆けて本番環境で初運用したのだ。

これは単なる技術実証(PoC)ではない。試合の勝敗を左右するビデオ判定を、競技会場から離れた遠隔地の専門家がリアルタイムで行うという、スポーツ審判の在り方そのものを変革するチャレンジである。なぜ今、この技術が重要なのか。そしてビジネスや私たちの生活にどのような影響をもたらすのか——詳しく解説する。

TMOとIOWN APNとは何か?技術の全容

TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)とは

TMOとは、ラグビーの試合において、レフリーの判定をサポートするビデオ判定システム、および担当人員のことを指す。密集度が高いラグビー競技では、肉眼では判断が難しいプレーが多数発生する。そのため、複数のカメラ映像を即時に確認し、トライの認定やノックオン、反則行為の有無などを正確に判定するTMOの役割は非常に重要だ。

従来のTMOは、審判員が競技会場に物理的に赴き、現場に設置された機材を使って判定を行う形式が一般的だった。しかし今回の取り組みでは、競技会場のMUFGスタジアムから離れた大手町プレイスにいるTMO担当者が、リモートで判定・検証を行うという新たな運用形態を実現した。

IOWN APNの特長——「大容量・低遅延・省電力」の革新的技術

IOWN(アイオン)は、NTTが提唱する次世代ネットワーク・情報処理基盤の構想だ。あらゆる情報をもとに個と全体の最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用して、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースを提供する。

その中核技術の一つがAPN(All-Photonics Network)であり、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入したオール光ネットワークである。今回使用された「docomo business APN Plus」は、このIOWN APNを活用したNTTドコモビジネスのネットワークサービスで、以下の特長を持つ。

  • 大容量:高品質な映像・音声の同時伝送を実現
  • 低遅延:リアルタイムでの判定が可能な超低遅延伝送
  • 省電力:従来の電気ネットワークと比較して大幅な電力削減
  • ゆらぎなし:確定的な遅延で、映像・音声の乱れが発生しない

この「ゆらぎなし」という特性は、生放送や判定業務のように一瞬の遅れも許されない用途において特に重要な価値を持つ。

今回の取り組みの詳細——何が「初めて」だったのか

JRLO、NTT、NTTドコモビジネスは連携し、リモートTMOの実施に踏み切った。TMO担当者の拠点(大手町プレイス)と競技会場(MUFGスタジアム=国立競技場)をdocomo business APN Plusで接続することで、大容量・低遅延かつ高品質なビデオと音声伝送を可能にし、リモートでのTMO運用を実現した。

特に注目すべきは、「実証実験」ではなく「本番運用」として実施された点だ。多くのスポーツ協賛に携わるNTTグループとしても、スポーツのレフリングにおけるIOWN活用の本番運用は今回が初めての挑戦であり、業界関係者からは「IOWNが大きく一歩進んだ」と評されている。

リーグワンが抱えていた課題

この取り組みの背景には、リーグワンが直面していた現実的な課題がある。

  • 2022年のリーグ創設から5シーズン目を迎え、参加チーム数は計26チームに拡大
  • 年間の試合数は223試合にまで増加
  • ディビジョン1・2合わせて178試合でTMOが実施されている
  • 試合数の増加に伴い、専門人材・オペレーターの確保・育成が急務
  • 全試合への審判員・TMO派遣は、人員の移動負荷に加え、機材・人件費のコスト増につながっていた

こうした課題を背景に、IOWN APNの「大容量・低遅延・省電力」という特長を活用し、TMOのリモート化が実現した。

ビジネス視点:企業・経営者にとっての意味

今回の取り組みは、スポーツ業界にとどまらず、さまざまな産業へのIOWN技術の横展開可能性を示している。

コスト削減と業務効率化

リモートTMOが普及すれば、ビデオ判定拠点を一か所に集約し、全国各地の試合に対してリモートで対応できるようになる。これは審判員の移動コスト削減だけでなく、機材の重複投資も回避できる。スポーツ団体の運営コスト全体を大幅に削減できる可能性がある。

人材の有効活用と育成

高度な専門知識を持つTMO担当者が一箇所に集約されることで、知識・経験の共有や育成が効率化される。現場を飛び回る必要がなくなることで、ベテランの知見を若手に継承しやすい環境が整う。

IOWN技術のビジネス展開加速

ラグビーという高視認性のスポーツイベントでの本番運用成功は、IOWN APNの信頼性と実用性を広く証明する絶好の機会となる。医療の遠隔手術支援、製造業の遠隔操作、放送業界のリモートプロダクションなど、IOWN技術の潜在的な適用領域は極めて広いと見られる。

消費者・生活者視点:一般の人々への影響

判定の精度向上とフェアプレーの実現

リモートTMOにより、高度な専門知識を持つ担当者が整った環境で判定できるようになることで、より正確かつ公平なビデオ判定が期待できる。選手・チーム・ファンにとって、試合の信頼性向上につながる。

観戦体験の進化

今回の試合では、スタジアム内(2F北スタンドコンコース 風のテラス)にNTT技術体験ブースも設置され、来場者がIOWNの技術を実際に体感できる場も提供された。テクノロジーがスポーツエンタメ体験をより豊かにするという方向性が見えてくる。

将来的なスポーツ視聴体験の変化

NTTドコモソリューションズは2026年2月に、IOWN APNとAIを活用した「新たな没入型ライブビューイング」の実証に成功している。撮影拠点に高度なICT機器を設置することなく、リアルタイムに3Dライブ映像やAR映像を複数同時配信できる技術であり、将来的には自宅にいながら現地と同等の臨場感でスポーツ観戦できる時代が到来する可能性がある。

専門家の見解

「IOWNが大きく一歩進んだと我々は考えている」
——NTTドコモビジネス ビジネスソリューション本部 第三ビジネスソリューション部 スマートランドグループ 営業部長・箱守豪氏

この発言は、今回の取り組みが単なるPoCの延長線上にあるのではなく、IOWNの実用化フェーズへの本格移行を意味するものとして業界から強く注目されている。これまで「実証段階」に留まっていたスポーツレフリングへのIOWN活用が、本番運用という形で実を結んだことは、NTTグループのIOWN戦略における重要なマイルストーンだ。

また、2026年5月にはIOWNの年次総会がシドニーで開催され、「検証から実装ステージに入ったIOWN」というフェーズが国際的にも確認されている。技術の成熟度が着実に上がっていることを示している。

国際比較:海外での同様の動き

ラグビーにおけるリモートTMOの動きは日本だけにとどまらない。ラグビーワールドカップ2027オーストラリア大会では、ワールドラグビーが判定の「迅速化」と「正確性」を向上させるため、本格的なリモートTMOに取り組む予定だ。JRLOは、この世界大会に先駆けてリモートTMOの導入を進めることで、日本が国際的なレフリング技術革新をリードする位置にある。

一方、欧州や北米のスポーツ業界でも通信技術を活用した審判支援は進んでいる。サッカーでは既にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が一般化しているが、それを完全リモート化・低遅延化する動きはまだ黎明期であり、日本の今回の取り組みは先進事例として国際的な注目を集めると見られる。

IOWNのスポーツ活用:広がる実績

今回のラグビーTMO本番運用に至るまで、NTTグループはスポーツ分野でのIOWN APN活用を着実に積み重ねてきた。

  • 大規模スポーツイベントの地上波中継:NTTドコモビジネスとTBSテレビが共同でリモートプロダクションセンターを構築し、国内最大規模のIOWN APNを用いた非圧縮伝送によるリモートプロダクションに成功(2025年9月)
  • Jリーグ公式戦でのローカル5G活用:NACK5スタジアム大宮においてローカル5Gを活用した高画質・低遅延映像伝送によるTV生中継の実証実験を実施(2025年11月)
  • 高校ラグビーでのリモートプロダクション実証:全国高等学校ラグビーフットボール大会向けに、AIスロー・テロップ制作機能をデータセンターに集約したIOWN APN活用リモートプロダクションを実証
  • 没入型ライブビューイング実証:3Dライブ映像やAR映像のリアルタイム同時配信に成功(2026年2月)

今後の展望:IOWNとスポーツDXが描く未来

レフリング拠点の集約化と全国展開

今回の本番運用成功を受け、NTTとJRLOは今後のリーグワン全試合へのリモートTMO拡大を視野に入れていると見られる。ビデオ判定拠点を一か所に集約することで、審判員の移動負担を大幅に軽減しながら、判定の一貫性・精度も高まることが期待される。

他スポーツ・他分野への展開

ラグビーでの成功実績は、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど他スポーツへのIOWN活用を後押しする可能性がある。さらに、スポーツ以外にも遠隔医療、製造業の遠隔監視・制御、放送業界のフルリモート制作など、低遅延・高信頼性が求められるあらゆる産業へのIOWN横展開が加速すると見られる。

6G・次世代通信との連携

IOWNは、いわゆる5Gを超える次世代通信インフラとして位置づけられており、将来的には1秒間に1,000テラbpsの通信速度の実現も見込まれている。6G時代に向けた技術基盤としても、IOWNの実用化事例の蓄積は極めて重要だ。ラグビーのような高視認性の場での本番運用は、IOWNの社会実装を加速する強力なショーケースとなる。

まとめ:この取り組みの3つのポイント

  • 🏉 スポーツ審判のDX化が「実証」から「本番」へ:2026年6月7日のリーグワンプレーオフ決勝において、IOWN APNを活用したリモートTMOが世界初の本番運用として実施され、スポーツレフリングの在り方を根本から変える歴史的な一歩となった。
  • 🔆 IOWNの実用化が着実に進展:大容量・低遅延・省電力・ゆらぎなしという特長を持つIOWN APNは、スポーツ・放送・医療・製造など多様な分野での本格展開フェーズに突入しており、日本の通信技術が次世代インフラの実用化で世界をリードしている。
  • 🌏 ラグビーW杯2027に向けた国際貢献:2027年オーストラリア大会でのリモートTMO本格導入を見据え、日本がその先行実績を作ることで、国際ラグビー界のテクノロジー革新に貢献する立場を確立しつつある。

参考情報


著者プロフィール

伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ

株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー

IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。

夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。

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