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生成AIでIT購買が激変、72.3%が活用も「選定外し」リスク

IT導入関与者1,200名への調査で、72.3%が情報収集に生成AIを活用していることが判明。購買担当者が営業接触前にAIで候補を絞り込む新時代の購買行動が明らかになり、IT企業には「AI時代のカスタマージャーニー」への早急な対応が求められている。生成AI・IT購買行動・AIO・カスタマージャーニー変化の最前線を解説。

営業が接触できる前に「選ばれる時代」が到来した

生成AIの急速な普及が、企業のIT製品・サービス購買プロセスを根底から変えつつある。株式会社日本経済社(本社:東京都港区、代表取締役社長:北村 真一郎)が自社のIT導入に関与する立場にある1,200名を対象に実施した大規模調査では、72.3%が情報収集に生成AIを利用しているという衝撃的な実態が明らかになった。さらに深刻なのは、その情報収集の段階でベンダー選定の大部分が完了し、営業担当者が接触する機会を得る前に「候補から外されてしまう」新たなリスクが浮き彫りになった点だ。

かつてのIT購買プロセスは「展示会・広告で接触 → 商談 → 提案書作成 → 意思決定」という段階的なフローが主流であり、各フェーズで営業担当者が重要な役割を担っていた。しかし今、その構造が根本から揺らいでいる。生成AIが「調査・比較・絞り込み」を代行するようになった結果、購買担当者はベンダーとのコミュニケーションを経ることなく候補リストを作成し、検討フェーズを大幅に前倒しで完了させている。

調査が示す「生成AI積極層」の行動変容

日本経済社の調査結果は、生成AIの利用頻度による購買行動の明確な差異を示している。生成AIをよく使う層(積極層)は、初期〜比較検討期において「営業担当者」を介さず、比較サイトやWEBメディアで情報収集を完結させる傾向が強く現れているのだ。

これは、IT製品・サービスを販売するベンダー企業にとって見過ごすことのできない重大な変化である。従来であれば、見込み客と営業担当者の間で何度も対話を重ねることが普通だったが、今では購買担当者がAIによる情報収集を終えた時点で、すでに意思決定の大半が済んでいるケースが珍しくなくなっている。

主要な調査結果のポイント

  • 72.3%のIT導入関与者が、情報収集フェーズで生成AIを活用
  • 生成AI積極層は営業担当者との接触なしに比較・絞り込みを完結させる傾向
  • 比較サイト・WEBメディア中心の情報収集で候補ベンダーが決まるケースが増加
  • フェーズ別カスタマージャーニーが従来モデルから大幅に乖離
  • IT導入で解決したい課題・パートナー企業の選択にも生成AIが影響

「選定から外される」新たなリスクとは

本調査で最も注目すべき発見は、「営業接触前に選定から外されてしまうリスク」の存在だ。これは生成AI時代固有の構造的問題であり、従来の営業・マーケティング手法では対処が難しい。

別の調査研究でも同様の傾向が確認されている。LNYの調査では、回答者の73.6%が生成AIの活用によって選定期間が短縮したと回答しており、購買プロセスの高速化と同時に、ベンダーが関与できる機会そのものが減少している実態が浮かび上がる。また、企業の購買活動においては営業面談前に85%が候補を選定しているというデータも存在し、「見えない検討フェーズ」での自社露出がいかに重要かを示している。

つまり、AIが推奨しない企業は「土俵に立てない」状況が現実のものとなっている。Google検索での上位表示だけでは不十分で、生成AIの回答に引用・推薦されるかどうかが、これからのIT企業の競争優位を左右する決定的な要因となりつつある。

ビジネス視点:IT企業・経営者が今すぐ取るべきアクション

この調査結果は、IT製品・サービスを提供するベンダー企業および経営者にとって、マーケティング戦略の抜本的な見直しを迫るものだ。日本経済社は、今後のマーケティング課題として「顧客が望む説得力のある情報を各フェーズで顧客接点上に設置し、新たなカスタマージャーニーに適応することが急務」と指摘している。

企業が取り組むべき対策

  1. AIO(AI Optimization)の実装:生成AIに引用・推薦されるコンテンツ設計を優先する。「AI検索への最適化」が、B2B企業の新たな集客インフラとして不可欠な要素になっている。
  2. コンテンツ資産の充実:比較・仕様・導入事例・ROI試算など、購買担当者がAIへの質問で求める情報を網羅的に公開する。AIが参照したくなる充実したコンテンツが、候補入りの条件となる。
  3. カスタマージャーニーの再設計:従来のキーワードベースのジャーニーマップを見直し、AI主体の行動フローに合わせたTOFU・MOFU・BOFUの各フェーズを再定義する。
  4. 営業の役割転換:AIが提供できる網羅的な情報提供はもはや営業の付加価値にならない。顧客の個別事情に踏み込んだコンサルティングや、AIでは示せない潜在リスクの指摘など、人間ならではの高度な価値提供へのシフトが必要だ。
  5. デジタル接点の再点検:比較サイト・WEBメディアへの露出強化と、生成AIに正確な情報が学習・参照されるよう、構造化データや信頼性の高い一次情報の発信を強化する。

消費者・生活者視点:購買担当者にとってのメリットとリスク

IT導入の購買担当者(生活者)にとって、生成AIの活用は業務効率の大幅な向上をもたらしている。約7割以上の回答者が「サービス選定時間が短縮された」と感じており、煩雑な事前調査から解放され、より本質的な課題の整理や最終候補との深い対話に時間を割けるようになった。

また、「検討していなかった新しいサービスを生成AIを通じて知り、選択した」と回答した購買担当者も約半数に上り、AIが「意思決定の入口」として機能し始めていることがわかる。従来は営業担当者の人脈や展示会参加でしか出会えなかった製品・サービスと、AIを通じて効率よく出会えるようになっている点は大きなメリットといえる。

一方で、生成AIの回答に偏りやハルシネーション(誤情報)が含まれるリスクもあり、AI情報を鵜呑みにした選定が後々の導入失敗につながる可能性がある点には注意が必要だ。AIを活用しつつも、最終的な意思決定には複数情報源での検証とベンダーとの対話を組み合わせることが重要となる。

専門家の見解:AIO時代の到来と対応の方向性

マーケティング・IT業界の専門家からは、この変化を「デジタルマーケティングの次の大転換」として捉える見解が増えている。

「生成AIは対話形式で柔軟な情報収集ができるという特長から、まだ製品名が明確でない段階の探索、条件に合う製品の比較、候補企業の絞り込みなどで広く活用され始めている」(テクノポート株式会社 独自調査より)

また、AI時代の新たなカスタマージャーニーフレームワークとして、「PRCA(プルカ)」といった概念も提唱され始めており、生成AIとの対話を起点とした購買行動を体系的に捉え直す動きが加速している。さらに、AEO(Answer Engine Optimization=回答エンジン最適化)という概念がSEOに続く新たなデジタルマーケティング手法として注目を集めており、生成AIに「正しく・有利に答えてもらう」ための情報設計が企業の競争力を左右するとの指摘も多い。

野村総合研究所の調査では57.7%の企業が生成AI導入済みと回答(2025年度)しており、その活用範囲は情報収集・コンテンツ生成にとどまらず、購買意思決定そのものに深く浸透している実態が示されている。

国際比較:海外では先行してB2B購買行動の変革が進む

この現象は日本に限ったものではない。PwC Japanグループが中国・英国・ドイツ・米国との5カ国比較で実施した「生成AIに関する実態調査2025春」では、日本は生成AI活用の推進度こそ平均的だが、他国に比べて効果創出の水準が低いという課題が浮かび上がっている。高い効果を上げている企業はいずれの国でも、生成AIを単なる効率化ツールではなく業務・事業構造の抜本的改革の手段と捉えて取り組んでいる。

特に米国・中国の先進企業では、B2Bのバイヤーが営業担当者と会う前にAIで情報収集・絞り込みを完了させる「セルフサービス型購買」がいち早く定着しており、ベンダー側もAIOやデジタルコンテンツ戦略への投資をすでに本格化させている。日本企業は対応のスピードでやや後れをとっている可能性があり、早急な戦略転換が求められている。

今後の展望:「AIに選ばれる」ことが最重要課題に

日本経済社の調査が示すトレンドは、今後さらに加速することが見込まれる。ChatGPTをはじめとする言語系生成AIの企業導入率は2024年度に41.2%と急伸しており(JUAS調査)、IT購買担当者の生成AI利用率も年々上昇を続けることが予測される。

この流れの中で、IT製品・サービス企業が直面する最重要課題は「いかにして生成AIの回答・推薦に自社が含まれるか」という点に集約されつつある。従来のSEO(検索エンジン最適化)を超えたAIO(AI最適化)への投資、購買担当者が知りたい情報を先回りして提供するコンテンツ戦略、そして営業担当者のコンサルタント化——これらを三位一体で推進できる企業が、生成AI時代の競争を制することになるだろう。

また、生成AIが「新しいサービスとの出会い」の場になっていることは、知名度の低いスタートアップや中小IT企業にとってはチャンスでもある。適切な情報発信とAIOへの対応ができれば、従来の大手有利の構図を崩す可能性もあると見られる。

まとめ:この記事の3つのポイント

  • 📌 72.3%がIT情報収集に生成AIを活用:日本経済社のIT導入関与者1,200名調査で、生成AI積極層は営業担当者を介さず比較・選定を完結させる傾向が明確に。営業接触前に候補を外される「サイレント選定外し」リスクが現実化している。
  • 📌 カスタマージャーニーの抜本的変化:購買プロセスの主導権が営業からAIへ移行しつつあり、「AIに推薦される存在であるかどうか」が次の競争軸。AIO(AI最適化)・AEO(回答エンジン最適化)が新たなデジタルマーケティングの必須戦略となっている。
  • 📌 企業は今すぐコンテンツ戦略と営業スタイルの転換を:生成AIが参照・引用する情報資産の整備、比較サイト・WEBメディアでの露出強化、そして営業担当者の「コンサルタント化」が急務。対応の遅れは機会損失に直結する。

参考情報


著者プロフィール

伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ

株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー

IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。

夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。

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